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原始取得

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物権変動とは

物権変動

物権とは物を直接的・排他的に支配する権利であり、物権変動とは物権の発生変更消滅のことである。たとえば建物が新築されれば、その建物の所有権が"発生"するし、建物が壊されれば所有権は"消滅"する。
物権変動の主な原因は法律行為であるが、 時効や混同、遺失物拾得、附合、相続などによる場合もある。

物権変動の公示(意思主義)や明認方法については次項以下をご覧ください


物権の取得

物権の取得は、承継取得と原始取得に分けられる。

承継取得

他人の物権が同一性を保ったまま移転することを承継取得という。前主が負担した権利や瑕疵を、後主はそのまま承継することになる。元の状態を白紙に戻して承継する点で原始取得とは異なる。
承継取得は物権の移転における移転的承継と、物権に対して内容を制限するような物権(抵当権や地上権など)を設定する設権的承継に大別され、さらに移転的承継は以下のように分類される。

特定承継
売買や贈与のように前主の特定の物権を個別的に承継する承継取得を特定承継という。
包括承継
前主の包括的な権利・義務が後主に移転する承継取得を包括承継、または一般承継という。自然人の場合は相続、法人の場合は合併が典型である。承継対象を分割して一部を承継することはできない。

民法第896条(相続の一般的効力)
相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

会社法第2条(定義)
(略)
27.吸収合併 会社が他の会社とする合併であって、合併により消滅する会社の権利義務の全部を合併後存続する会社に承継させるものをいう。
28.新設合併 二以上の会社がする合併であって、合併により消滅する会社の権利義務の全部を合併により設立する会社に承継させるものをいう。
(後略)

原始取得

前主の権利に基づかないで全く新しく物権を取得するのを原始取得という。 前主の権利・義務は消滅し、白紙の状態で物権を取得する。具体的には以下の場合が原始取得であるとされる(それぞれは該当ページに詳しい解説があります)。

民法第2編物権、第3章所有権の「第2節 所有権の取得」に書かれているもの

無主物先占
所有者のない動産について、所有の意思をもって占有することによって、その所有権を取得する制度。(239条)漁師が釣った魚などが該当する。ただし無主の不動産は国庫に帰属する。
遺失物拾得
遺失物について、遺失物法の定めに従い公告をした後3カ月以内に所有者が判明しないときは、拾った者が所有権を取得する制度。(240条)
埋蔵物発見
埋蔵物について、遺失物法の定めに従い公告をした後6ヶ月以内に所有者が判明しないときは、発見した者が所有権を取得するという制度。(他人の所有物から発見された埋蔵物は、発見者と所有者が等しい割合で所有権を取得する。)
添付
付合(242条・243条)、混和(245条)、加工(246条)のように、複数の物が結合して分離が困難となった新たな物が生み出されたときに、その所有者について定める制度

上記以外で原始取得であると解されているもの

時効取得
20年間、所有の意思をもって平穏・公然と他人の物を占有した者が、その所有権を取得するという制度。(占有開始時に善意・無過失だった場合は10年)(162条)
即時取得・善意取得
動産について、平穏・公然かつ善意・無過失で占有を始めた者が、即時にその動産の所有権を取得する制度。(192条)
家畜以外の動物の即時取得
上述の即時取得に関して、家畜以外の動物について他人の動物を占有したものは、占有開始時に善意で、1ヶ月以内に飼主から返還請求を受けなかったときは、その動物について行使する権利を取得するとする制度(195条)。

物権の変更

物権の同一性を保ったまま、物権の内容や客体が変わることである。抵当権の順位の変更や、地上権の存続期間の変更が例となる。

物権の消滅

物権は以下のような原因で消滅する。

目的物の滅失
物権の客体が滅失すれば、その物を支配する物権も消滅する。たとえば、家が消失すれば建物の所有権も消滅する。
放棄
物権を放棄する意思表示によって、原則として物権は消滅する。放棄の意思表示は相手方のある単独行為である。所有権と占有権は特定の者に意思表示をする必要はないが、それ以外の物権については、放棄によって直接利益を受けるものに対してなされる必要がある。
ただし放棄によって他人の権利を害するときは、放棄することはできない(抵当権について定められている(398条)が、その他の場合にも一般化されるべきだといわれている)

398条(抵当権の目的である地上権等の放棄)
地上権または永小作権を抵当権の目的とした地上権者または永小作人は、その権利を放棄しても、これをもって抵当権者に対抗することができない。

公用徴収(公用収用)
公共事業に供するため、所有権等の財産権を強制的にとりあげる場合である。法定の手続きと補償のもとで徴収者は権利を原始取得し、徴収されたものは権利を失うことになる。
消滅時効
所有権以外の物権は、原則として20年で時効によって消滅する(167条2項) 所有権も、他人に時効取得されると、反射的効果として消滅する

167条(債権等の消滅時効)
1.債権は、十年間行使しないときは、消滅する。
2.債権又は所有権以外の財産権は、二十年間行使しないときは、消滅する。

混同
相対立する2つの法律的地位が同一人に帰属し、2つの地位を併存しておく必要がない場合に、 一方が他方を吸収する場合を混同という。 これについては次項の「混同とその例外」をご覧ください。


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