このページの内容が必ずしも最新かつ適正なものとは限りません。"はじめに"をご一読ください。

内容の誤り,誤字等のご指摘

関連用語:

スポンサード リンク

混同の定義と効果

2つの物権が同じ人に帰属し、両地位を併存しておく必要がない場合に、 一方が他方を吸収することを混同という。吸収された他方の物権は消滅する。物権変動における物権の消滅事由の一つである。

第179条(混同)
  1. 同一物について所有権及び他の物権が同一人に帰属したときは、当該他の物権は、消滅する。ただし、その物又は当該他の物権が第三者の権利の目的であるときは、この限りでない。
  2. 所有権以外の物権及びこれを目的とする他の権利が同一人に帰属したときは、当該他の権利は、消滅する。この場合においては、前項ただし書の規定を準用する。
  3. 前二項の規定は、占有権については、適用しない。

なお、混同は債権の消滅事由のひとつでもある。すなわち債権と債務が同じ人に帰属した場合は、債権は消滅する(520条)

第520条(混同)
債権及び債務が同一人に帰属したときは、その債権は、消滅する。ただし、その債権が第三者の権利の目的であるときは、この限りでない。

ここでは物権の混同について述べる。混同には以下のようなパターンがある

所有権と制限物権の混同(1項)

所有権と制限物権の混同

土地の地上権者が、土地を買い取って所有権を取得したような場合は、制限物権である地上権は混同によって消滅する。排他的使用を可能にする所有権と、制限付きの使用ができる地上権の双方を存続させる必要はないからである。

地上権とは、土地を利用することができる権利である。Aが所有する土地に、地上権を設定したBが、後にAから土地を買ったような場合、Bにおいて所有権と地上権のどちらも存続させる必要はないので、地上権が消滅するということである。

制限物権と他の権利との混同(2項)

所有権以外の物権と制限物権の混同

所有権以外の物権(制限物権)と、これを目的とする他の権利の両者が同じ人に帰属した場合は、他の権利は混同によって消滅する。

たとえば、A所有の土地について、Bが地上権を設定し、債権者CのためにBの地上権に抵当権を設定した場合において、後に地上権者BがCの抵当権を取得したような場合は、抵当権が消滅するということである。


混同の例外(物権が消滅しない場合)

占有権の例外

占有権は、物についての事実上の支配を保護する権利であり、本権と併存するので、混同についての規定は適用されない(179条3項)

第三者の権利の目的となっている場合

179条の1項ただし書・2項ただし書にあるように、物権が第三者の権利の目的となっているときは、その物権は混同によって消滅しない。)

[図解] Javascriptが有効なときはボタンをクリックすると図が変わります▼

たとえばA所有の土地について、Bが地上権を設定し、債権者CのためにBの地上権に抵当権を設定した場合において

地上権者BがAから土地を購入したとき(Bは地上権者であり所有権者になる)

原則であれば所有権との混同で消滅する地上権が、第三者(抵当権者)Cの権利(地上権)の目的となっているため、地上権は存続することになる。

自己の利益を保護する場合

混同により物権が消滅することで自分の利益が害されるときも、物権は存続する。

事例1 [図解] Javascriptが有効なときはボタンをクリックすると図が変わります▼

たとえばA所有の土地について、Bが最初に抵当権を設定し、Cが2番目に抵当権を設定した場合において

1番抵当権者BがAから土地を購入したとき(Bは1番抵当権者であり所有権者になる)

原則であれば所有権との混同で消滅する抵当権だが、1番抵当権が消滅するとCが1番抵当権者となってしまうため、Bの抵当権は消滅しない。

事例2

また、A所有の土地にBが抵当権を設定し、Bの抵当権にCが転抵当を設定した場合において、転抵当権者Cが土地の所有権をAから取得した場合も、Cの転抵当は所有権と混同して消滅することはない。Cが転抵当によって得るべき利益を保護するためである。

判例(最判昭46.10.14)

裁判要旨の引用『特定の土地につき所有権賃借権とが同一人に帰属するに至つた場合であつても、その賃借権が対抗要件を具備したものであり、かつ、その対抗要件を具備したのちに右土地に抵当権が設定されていたときは、民法179条1項但書の準用により、賃借権は消滅しないものと解すべき』だとしている。

物権と債権の混同についてであるが、179条が準用されて賃借権の消滅を否定している

混同の例外の例外

上述のように、ある権利が自分のために混同で消滅しないのは、たとえば抵当権であれば被担保債権が存在しているからである。
たとえば、上記の事例1(A所有の土地について、Bが1番抵当権を設定し、Cが2番抵当権を設定した場合)について、1番抵当権者BがAから土地を単独相続した場合や、代物弁済として土地を取得したような場合には、 被担保債権が混同により消滅する(債権の混同について上述の520条)。よって被担保債権が消滅した以上、1番抵当権は付従性によって消滅することになる。



スポンサード リンク